80回展に想う・私の木版画

大 澤 啓 三
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掲載の左の作品は、1958年・第22回自由美術家協会展・初入選「死のさそい」と、右は2015年の「砂の華」で、いずれも木版画作品である。

私の生まれは、1937年で、ちょうど「自由美術協会が創立され、第1回展が開催された年と同じである。美術展の回数と私の年齢とが合致し、自由美術協会とのある因縁を感じている。

初入選以来、現在まで木版画を制作し、出品している。私の木版画制作のおもいは、「版による絵」として、版木がキャンバスで、彫刻刀が絵筆とおもっている。表現したい構想(下絵)をもとに、直接版木に絵筆・墨筆・白コンテ鉛筆で描いて版下絵をつくり、彫り上げていく。刷りについては、バレンの圧や顔料の量で調整するのではなく、彫り上げた(製版)ように刷るのが私の制作方法である。

表現する主題は、この10年余、砂漠とそこに生きる人々である。

砂漠で風や嵐に吹き上げられた砂は、すき間というすき間をうめつくし、砂漠の砂は風に吹かれて、生きもののように大地をはいながら移動して行く。嵐が去ったあとの、なだらかな曲線を描く美しい砂丘がどこまでも連なる光景を目にすることができる。

砂漠は砂丘のイメージが強いが、実は岩や石がゴロゴロする荒涼としたところが多い。そのきびしい自然と戦い、融合しながら、羊の群れとともに、ほんのわずかな牧草を求めて移動する現地の人とのたくましい生命力にひかれ、制作している。