自由美術協会

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自由美術 佳作賞展

'17年受賞者による佳作賞展'

18年4月9日(月)〜15日(日)

PAROS GALLERY(大森)

佳作賞展をみて

宇野之雅

○竹井侑子さん

淡いグレーが画面全体を覆いつくしとても美しいグレーだと思いました。そのグレーの中に様々な色調を想起させ、竹井さんの思いが画面イッパイに、広がる空間の中に表現されていると思いました。

先日、佳作賞の竹井さんのギャラリートークを聞いていて、竹井さんの自作に対する強い思いを作品に感じます。空を飛ぶ鳥の様な飛翔体は、この現実を永遠に飛び続ける着地点の無い出口の分からぬ人間の生そのものなのでしょうか?何かとても示唆的で暗示的な絵だと思いました。

作品的に言えば、多少グレーに階調をつけるともっと良くなると思いました。やや全体的に平板な印象を受けます。でも人の意見など気にせず、竹井さんの思い通りの絵を描いてください。表現とはそういうものですから。竹井さんの思いの詰まったいい絵だと思いました。

○前田珠紀さん

画面をおおいつくす様な抽象的に表現された水面でしょうか。そこに表現された波の波紋。とても良く描かれていると思いました。まるで日本画を見ている様ですね。

前田さんの感性の良さを感じました。

とても女性らしい繊細な絵だと思いました。水面にゆらゆらとうごめく抽象化された波紋のゆらぎ。本当に良くとらえていますね。欲を言えば、あまり波紋ということにとらわれずのびのびと描いて下さい。

自分もそうですが、パターンにとらわれてしまっては、表現する意味が無くなってしまいます。パターンとは、日本の場合様式美です。日本美の場合成立しますが、多分私達の追求している表現とは無縁であると思われます。

しかし感覚の良さを感じるいい作品でした。

次回の作品を、楽しみにしています。

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相良由紀

○濵野春美さん

入口を入って右に濵野春美さんのおちついた綺麗な佇まいを感じさせる作品がありました。深い緑が下に滑り落ちて行くかたちの【穹音Ⅰ】。

緑に黄が加わり一つだったかたまりがゆっくりと別れて離れる寸前の【穹音Ⅱ】。

右から左に赤い波紋の圧力がジワジワ広がってゆく【穹音Ⅲ】。の3 点で、どの絵もゆっくりゆっくり意思を持って画面を動かしている所が心地良かったです。辞書をみると【穹】という文字は、穴、大きい、高い、大空、天、奥深い、ドーム形…etc . とありました。天空の雲の動きに心奪われて、広い異世界に吸い込まれてしまう際のご自身の気持ちの音色が今回のテーマだったのでしょうか。

○越川道江さん

越川道江さんの作品は会場の中ほどに3 点、向かいの柱に1 点で計4 点、大きい絵は皆さんに評判の良かった朱が美しい【フユガオワレバ】よりも私は【五月のスケジュール】が面白かったです。とりどりのかたちが蜘蛛の子を散らし、さらにずるりと降りていく画面が快感です。小品は絵作りの趣が違い【角を曲がれば】では矩形をゴツゴツぶつけあい、【青ハ行ク】のクジラみたいなヘリコプターみたいな濃色のかたちはとても魅力がありました、右上の黄色がすこーし強いかしら……。感覚的で瞬間の衝動も大事にされている所が楽しいです。

立体

下倉節子

大森のパロスギャラリーでの佳作賞展も、今年が最後になるとのこと。来場者が少ないという理由もあるようですが、石の美しさが光る個性的な画廊であるだけに、残念な思いを感じつつ、オープニングに参加する。

平面、立体の受賞者の方々は、遠くは広島、近くは横浜から出席され、作品に対する熱い想いを語っていらした。その想いは、会期中の観客動員にもつながり、一番多かったのでは。賑やかに女性力が光った展覧会になったようです。

立体の受賞者は城所真衣さんと芹田静枝さん。ともに人体を追求した具象作品である。

城所さんは大学に在学中の方で、若さあふれる大作「初夏」を出品された。等身の女性像で、石膏の白さが際立つ伸びやかな作品である。素直な表現で細部にこだわっていない所に好感が持てました。若い作家に今後も、期待値大です。

芹田さんは本展での受賞作「まんちゃん」他4 点出品されている。「まんちゃん」はちょっとおしゃまに、気取った様子の動きが良い。毎年出品されているお孫さんのシリーズで、成長を見守る優しさにあふれた作品である。他の作品もしっかりとした造形力で、その力量、経験は誰もが認めるところであるかと思われます。彼女は、私と同じ横浜のアトリエで制作する仲間でもあります。彼女が仕事、子育てでなかなか取り組めなかったブランクを埋めるかのように、ここ10 年猛烈な勢いで制作を続けてきた姿を見てきました。満を持して、出品した作品がこの受賞につながったことが、本当に素晴らしいです。

お二人が具象作家として、これからもモデルを見て制作し続ける時に、個性を表現する難しさにぶつかることもあると思いますが、好奇心旺盛に、創造力あふれる作品をめざして制作していってください。

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