2023

自由美術

脱皮・自由と創造

脱皮そして自由と創造

福田篤

自由美術協会は、創立以来離合集散をくり返すこ とで脱皮し新しさを生み出してきた。  「脱皮とは今迄の体の形状と生き方を捨て新しく 生きる能力を獲得し新世界を展開する成長の現象で ある。最初の離合集散は戦中から戦後の再出発に於 ける変化の時に起きた。

創立の会の趣旨はヨーロッパ近代に追いつくことを目的としてパリ で花開いた抽象美術を国内に広めることであった。 そしてヨーロッパに近代をもたらした「自由」を冠 としたのである。

明治以降の日本人にとって、学問、芸術文化、生 き方の理想的モデルは西洋近代であり、めざすべき 終着点はパリにあったと云える。そして「自由」は 最も秀れた思想であり人間社会の永遠の理想でもあ る、まして軍国主義に苦しんでいる状況に於いては 当然であったろう。

明確な目標でスタートしたものの間もなく戦争に よって頓挫した。敗戦後の再出発にはメンバーが不 足したことから新たな仲間を必要とした。新人画会 のメンバーなどが加わったが逆に創立会員の主だっ た人達が退会するという結果になり早くも第一回目 の脱皮の機会が訪れた。

それ等新規参加者の内から戦後美術を代表する活 躍を見せる画家が数多く出現した。「自由」の名故 に参加した気概やヒューマニズム精神に誘われて 集っただけでは秀れた芸術集団が生まれることは無 いだろう。

大戦によって日本のみならず世界は大きく傷つい ていた。特にヨーロッパは一次大戦の死者2,000万人 そして二次大戦では世界では5,500万人の人々が命を 落としたのだ。

若き兵士は神話に基づいた歴史の暴虐の中で武器 を置きペンや絵筆をとった時、今迄と異なる感慨が 体を走ったのだろうと思われる。

キリスト教の愛の精神にもとづくヨーロッパ精 神、哲学、芸術、文学そして伝統に疑問符がうたれ たのである。

その感情を明確に代弁したのは、カミュ、サルト ル、カフカなどの「不条理」である、戦后焼け跡で 立ち上がった若者達に強い共感をもたらし新しい時 代への脱皮となる創作活動を導き出すに至った。

その不条理の感情はあらゆる哲学的論理を越えて 戦后世代、そして自由美術のメンバーの根源的感情 となり多くの創作活動に火を灯し続けたのであろ う。

麻生三郎、鶴岡政男、松本竣介、糸園和三郎、井 上長三郎、浜田知明、野見山暁治、中本達也、前田 常作、小山田二郎、オノザトトシノブ、曹良奎等、 こゝに挙げた人達は、活躍した一部であるが、深い 思考に裏打ちされ人間そのものゝ存在に真摯に向き 合い、世代の根源的感情を強烈に発する作品群を生 み出したのである。

 
加藤義雄

自由美術会員の個展、グループ展、各地域の自由美術主催展

自由美術会員の個展、グループ展、各地域の自由美術主催展

2021 
◉ 個展 会員展 等

7/22~7/25 第21回自由美術富山グループ展 富山県民会館美術館
7/27~8/ 1 第63回東中国自由美術展 岡山県天神山文化プラザ
8/ 6~8/10 第56回自由美術群馬展 ノイエス朝日
8/ 6~8/8 '21栃木自由美術展 足利市民プラザサロン
8/23~8/28 田中秀樹展 中和ギトャラリー
8/31 ~9/5 第51回 大分自由美術展 大分県立美術館 3階 展示室B
9/ 2~9/5 2021山口自由美術展 防府市地域交流センターアスピラート
9/20~9/25 絵画小品展~自由美術会員による~ ギャラリーストークス
9/27~10/ 2 版画小品展~自由美術会員による~ ギャラリーストークス
9/27~10/ 2 瀧田紀子展 K's Gallery
9/27~10/ 3 伊藤朝彦展 千駄木画廊
10/ 2~10/17 醍醐イサム個展 触光融光 ギャラリー絵夢
10/ 4~10/ 9 佐々木厚子展 ギャラリーストークス
10/4~10/10 柳田祐希個展 あかね画廊
10/5~10/16 五十嵐久美子展 あらかわ画廊
10/18~10/24 ヒトトモノタチ 大野修氏 小倉信一氏 吉見博氏 ゆう画廊
11/ 1~11/7 人と風とかたち 守山幸伸展 GLYCINES
11/ 2~11/8 平澤重信展 -記憶の抽斗- ギャラリーきっさこ
11/ 8~11/13 美濃部民子展 ギャルリー志門
11/15~11/20 中野渡みね子展 中和ギャラリー
11/22~11/27 吉川千里展 K's Gallery
11/22~11/27 小野精三展 ギャラリーソレイユ
11/22~11/28 有田敬子展 千駄木画廊
11/26~12/ 4 松山由美子展 GALLERY IN THE BLUE
12/ 6~12/18 醍醐イサム個展 K's Gallery
12/ 6~12/17 アール·デサンブル展 千駄木画廊
12/ 8~12/12 的場脩二展 熊野市文化交流センター

◉ グループ展 等

1/8~1/17 第12回マスだ!展 五十嵐久美子氏 K's Gallery
1/13~1/23  第29回 新春現代作家小品展 笠井順子氏 小暮芳宏氏 寺床まり子氏 依田元明氏 千駄木画廊
1/18~1/24 山口長男☆野見山暁治と実専展 小野清三氏 GALLERY ムサシ GINZA
2/ 1~2/10  ブルーブルー展vol.8 ミズテツオ氏 岸川理子氏 國定正彦氏 寺床まり子氏 岡本淑子氏 四季彩舎
2/12~2/21 現代抽象作家展-surprise 14-寺床まり子氏 霊山邦夫氏 村秋木綿氏 ギャラリー絵夢
2/19~2/28 カイガノチカラ 平澤重信氏 枝香庵Flat
2/22~3/6 満天の星展 平澤重信氏 あらかわ画廊
3/ 1~3/6 美の棲む処 iact Vol.10 中野渡みね子氏 ギャラリー暁
3/ 1~3/ 6 版画家Allumage展 笠井順子氏 K's Gallery
3/ 8~3/13 表現の原点-素描-大野修氏 小倉信一氏 ゆう画廊
3/ 9~3/14 第37回森野会展 寺床 まり子氏 町田市立国際版画美術館
3/ 9~3/15 チャリティーアート展  寺床 まり子氏 セッションハウス 2Fギャラリー
3/12~3/23 十二支展 平澤重信氏出品 あらかわ画廊
3/20~4/18 開館記念展Ⅲ足跡大野修氏 平澤重信氏 藤島清平氏 たましん美術館
3/25~4/6 オリオン·7展 笠井順子氏 ギャラリー華沙里
4/5~4/17 ARTFILE展 寺床まり子氏 相良由紀氏 鈴木香織氏 K's Gallery
4/5~4/10 追悼秋山祐德太子 宇野之雅氏 寺床まり子氏 銀座中央ギャラリー
4/19~4/24 Monochrome 白と黒の世界 古田由美子氏 ギャルリー志門
5/ 5~5/12  NOW HERE 小川リエ氏出品 山梨県立美術館 県民ギャラリーA·B
5/7~5/16 合同美術展「ディストピアの到来に抗して」大野修氏 小倉真一氏 岡ノ谷美依氏 相良由紀氏 セッションハウス·ガーデン
5/17~5/22 初夏のAllumage展 五十嵐久美子氏 柳田祐希氏 K's Gallery
6/21~6/26 18人の表現者たち展 山田かの子氏 K's Gallery
6/25~6/30 素粒子展 Ⅱ 相良由紀氏 ポルトリブレ
6/27~7/1 ART WAVE 蒲田アプリコ現代美術展2021 醍醐イサム氏 大田区民ホール·アプリコ
7/2~7/11 第67回練馬区美術家協会展小川リエ氏 東谷弘子氏 松本由紀子氏 練馬区立美術館 3階展示室
7/12~7/17 版画家Allumage展 笠井順子氏 K's Gallery
7/19~7/24 Prints 7 exhibition 笠井順子氏 ギャルリー志門
7/19~7/31 夏のシンフォニー2021 五十嵐久美子氏 岸川理子氏 中和ギャラリー
7/26~7/31  第27回現代美術日韓展 有田敬子氏 宇野之雅氏 小林成行氏寺床まり子氏 西沢武徳氏 ギャラリーくぼた
7/26~8/1 坐·琳派展 漆 醍醐イサム氏 画廊 楽Ⅰ
9/ 5~9/10 2021喫水線展 五十嵐久美子氏 小金井 宮地楽器ホール市民ギャラリー
9/ 7~9/12 3TH 郡来展 KUKITEN 佐藤泰子氏 コンチネンタルギャラリー
9/24~10/ 9 KSAC ART FESTA 2021 寺床まり子氏 MDP GALLERY
10/ 1~10/ 5 未来抽象芸術展 瀧田紀子氏 PENSEE
10/10~10/16 はじまりの庭平沢重信氏 高橋靖子氏 ギャラリーストークス
10/10~10/17 酒蔵アートin なめりかわ 2021 水野利詩恵氏 ぽんぼこさ 有隣庵
10/20~10/31 第64回CWAJ現代版画展オンラインギャラリー 五十嵐久美子氏 オンライン開催
10/30~11/ 7 江古田のまちの芸術祭2021at FURUTO 小川リエ氏 ギャラリー古藤
11/ 3~11/8 歩み続けるそれぞれの日々小川リェ氏 那須ゆいか氏 ギャラリーストークス
11/ 8~11/13 「一番組」展 相良由紀氏 千駄木画廊
11/ 9~11/14 第29回朝霞市美術協会展 醍醐イサム氏 朝霞市中央公民館ギャラリー
11/11~11/21 まほろば 佐久に咲く 素描展 2020 醍醐イサム氏 平澤重信氏 ギャラリー絵夢
11/16~11/21 第34回 多摩北部5市美術家展 西村幸生氏 野口高史氏 古田由美子氏 東村山市立中央公民館
11/24~11/30 ART WAVE 新宿現代美術展2021 醍醐イサム氏 ヒルトピアアートスクエア
12/13~12/25 七曜七人展小 野田勝謙氏 いりや画廊

2022

◉ 個展  会員展 等

1/6~1/23 平澤重信展 山口画廊
1/13~1/24 五十嵐久美子展 ま一る mar
1/20~1/25 柳田祐希個展 Gallery Zaroff
2/ 2~2/8 中林三恵銅版画展2022 八木橋百貨店
2/5~2/15 平澤重信 個展 ギャラリー枝香庵
2/ 7~2/13 彫刻9人展 銀座アートホール
3/ 6~3/12 西沢武德展 千駄木画廊
3/8~3/13 小林成行展 中和ギャラリー
3/22~3/27 西尾裕展 広島県立美術館 ギャラリー
5/ 3~5/8 第73回中部自由美術展 愛知県美術館ギャラリーE室
5/3~6/4 的場脩二展 くまの茶房
5/9~6/14 西牧喜文展 K's Gallery
5/10~5/21 醍醐イサム個展 ギャラリーストークス
5/10~6/10 井上玲子展 日本画廊
5/12~5/22 瀧田紀子個展「CURVY SPACE」 ギャラリ想
5/20~5/27 第11回東京自由美術展 東京都美術館
5/23~5/28 山田かの子展 K's Gallery
6/ 1~6/5 第23回赫KAKU展 兵庫県立美術館 原田の森ギャラリー本館1F
6/1~6/11 美濃部民子個展 ギャラリーストークス
6/ 3~6/5 三重自由美術うつなみ 熊野市民会館
6/14~6/19 相良由紀展 中和ギャラリー
6/16~6/22 新宿·自由美術14人展 ギャラリー絵夢
6/17~7/4 平澤重信展 obi gallery
6/20~6/26 2022“U展”千駄木 千駄木画廊
6/27~7/2 小野田志津代個展 アートスペース羅針盤
6/28~7/9 平澤重信展 あらかわ画廊
7/5~7/10 第59回自由美術関西展 京都府立文化芸術会館1階·2階展示室
7/12~7/24 醍醐イサム個展 ギャラリー絵夢
7/17~7/24 MICHIKO展 イコロの森「森の学校」内IKORO GALLERY
7/19~7/24 第54回 2022黄人展 広島県立美術館
7/20~7/30 小倉信一展 ゆう画廊
7/20~7/24 第42回 静岡県自由美術展 クリエート浜松ギャラリー31
7/21~7/24 第57回自由美術·秋田展 秋田市文化会館第1展示ホール
7/26~7/31 田中雅子展 中和ギャラリー
7/27~7/31 第64回東中国自由美術展 岡山県天神山文化プラザ
8/ 2~8/7 第48回自由美術香川 善通寺市美術館
8/8~8/23 石井克の鳥·石井克作品展 artspace & café
8/18~8/21 山口自由美術展 防府市地域交流センター(アスピラート)
8/20~8/24 第57回自由美術群馬展 ノイエス朝日
8/24~9/4 石井克の現在 artspace & café
8/30~9/4 第52回 大分自由美術展 大分県立美術館 3階 展示室B
9/10~9/24 辻忍展-地にそよぐ- ATELIER.K
9/19~9/24 大野恵子展 ギャラリー檜F
9/21~9/26 版画の海五十嵐久美子·北島裕子·佐藤廣子·善相原昌代·田中雅子·多胡宏·吉村俊氏 ギャラリーストークス
9/21~10/ 3 森真彫刻展 ギャラリーストークス
9/23~10/10 石井克の始まり artspace & café
9/27~10/14 伊藤朝彦展 日本画廊
9/28~10/ 3 絵画の森 ギャラリーストークス
10/ 1~10/31 五十嵐久美子展 space縁
10 /3~10/ 9 柳田祐希個展 あかね画廊
10/ 9~10/22 那須ゆいか展 御宿まるや(まるや工芸店2Fギャラリー)
10/17~10/23 ヒトトモノタチ  大野修·小倉信一·吉見博氏 ゆう画廊
10/18~11/ 4 福田篤展 日本画廊
10/20~10/29 山田かの子個展 AKIRA-ISAO
11/ 1~11/ 6 演野春美展 中和ギャラリー
11/ 3~11/13 五十嵐久美子展 マール
11/ 8~11/13 第86回自由美術展 京都市美術館 別館1F·2F
11/ 9~11/27 Mariko Teratoko Artifact
11/12~11/20 藤田和子作品展 キューブブルー
11/19~11/28 吉見博展 とさの森美術館
11/21~11/26 小野精三展 ギャラリーソレイユ
11/27~12/ 8 エクアドル·インタグ作品展 一井リツ子氏 ひと·まち交流館 京都 1F作品展示コーナー
12/ 5~12/17 醍醐イサム個展 K's Gallery
12/5~12/10 No.30 アール·デサンブル展 千駄木画廊
12/27~1/9 第86回 自由美術展 愛知県美術館ギャラリーA·B·C室

◉ グループ展 等

1/10~1/20 ウィンターフェスタ 平澤重信氏 枝香庵
1/10~1/15 新春ガラス絵展 平澤重信氏 ぎゃらりいサムホール
1/12~1/22 第30回 新春現代作家小品展 伊藤雄人氏 笠井順子氏 小暮芳宏氏 寺床まり子氏 依田元明氏 千駄木画廊
1/16~4/16 大空を翔ける青いうまたち 田中秀樹氏 ミズテツオ氏 國定正彦氏 井上リラ氏 寺床まり子氏 田園の美術館
1/17~1/22 新春新年会展 2022 醍醐イサム氏 ギャラリーGK
2/5~2/27 未来抽象芸術展 瀧田紀子氏 Gallery G
2/11~2/20 現代抽象作家展-surprise 15 寺床まり子氏 霊山邦夫氏 村秋木綿氏 中野渡みね子氏 ギャラリー絵夢
2/15~11/20 第24回朝霞市美術協会展 醍醐イサム氏 朝霞市中央公民館ギャラリー
2/19~2/27 思索の現場 平澤重信氏 ギャラリーカジオ
2/21~2/26 木内万宇追悼展 醍醐イサム氏 ギャラリー成瀬17
2/21~2/26 el Quijote-展 笠井順子氏 ギャラリー暁
2/28~3/5 版画家Allumage展 笠井順子氏 K's Gallery
3/ 7~3/12 表現の原点-素描- 大野修氏 小倉信一氏 ゆう画廊
3/8~3/13 第13回春季朝霞市美術協会展 醍醐イサム氏 朝霞市中央公民館ギャラリー
3/14~3/19 変異の交点 大野修氏 古田由美子 ギャルリー志門
3/28~4/ 2   ARTFILE展後期 寺床まり子氏 相良由紀氏  K's Gallery  
3/29~4/ 3   彫刻展Q 杉英行氏 辻本又慶氏 藤山深諦氏  八代市立博物館 未来の森ミュージアム  
4/ 4~4/9   <ミニミニ100選>展 中野渡みね子氏  ギャラリー暁  
4/5~4/11   第8回「点の解」展 笠井順子氏  横浜市民ギャラリー  
4/18~4/23   ダースエキジビション なまMonochrome 古田由美子氏  ギャルリー志門  
4/23~5/1    いきなことをしよう「富士を語るⅠ」 平澤重信氏 國定正彦氏 醍醐イサム氏 ミズテツオ氏  ギャラリー君香堂   
4/25~4/30   現代作家7人展一抽象と形態一 美濃部民子氏  ギャルリー志門  
5/2~5/8    学園祭展Ⅱ ーノ澤文夫氏 相良由紀氏 中野渡みね子氏 姫井美貴子氏  千駄木画廊   
5/2~5/7   ウクライナ緊急募金展 瀧田紀子氏  Gallery Q  
5/6~5/18   青いとりたち展 ミズテツオ氏 國定正彦氏 寺床まり子氏  ギャラリー絵夢  
5/10~5/15   NOWHERE2022 小川リエ氏  山梨県立美術館県民ギャラリーA室·B室  
5/12~5/17   修羅譜展 演野春美氏 佐川公則氏 故·石田貞雄氏  神楽坂セッションハウス 2Fガーデン  
5/13~6/5   久村家のアートたち 久村進氏  ゆう桜ケ丘ギャラリー  
5/17~5/28   昆虫たちのエチュード展 平澤重信氏  あらかわ画廊  
5/23~5/28    広瀬一二とその仲間たち 岡村光哲氏 小野精三氏 小林成行氏 古橋真智子氏 森真氏出品  千駄木画廊   
5/23~5-28   蕗伐りの会 松崎九鬼洋子氏  ギャラリー暁  
5/24~5/29     MG5 展PART X 霊山邦夫氏 永畑隆男氏  中和ギャラリー    
5/25~6/4 橘良子+寺床まり子 寺床まり子氏  ギャルリーヴェルジェ
5/30~6/4   aku·aku 小山雅子氏 竹内敏江氏 醍醐イサム氏  K's Gallery  
5/31~6/12   グランドシンフォニー2022 五十嵐久美子氏 岸川理子氏 吉川千里氏  中和ギャラリー  
6/21~6/26   第47回立川平和美術展 大野美代子氏  たましんRISURUホール  
6/28~7/3   ART WAVE 目黒現代美術展 醍醐イサム氏  目黒区美術館区民ギャラリー  
6/29~7/10   21stアートinはむら展 大野美代子氏  羽村市生涯学習センターゆとろぎ  
7/ 2~7/9   2022水彩の庭 平澤重信氏  ギャラリーきっさこ  
7/11~7/21   未来抽象芸術展 瀧田紀子氏  スペース·ゼロ  
7/18~7/23   PRINT 7 Exhibition 笠井順子氏  ギャルリー志門  
7/23~8/7   ミニアチュール2022 菊池まり子氏  カフェリベル  
7/25~7/30   Gallery HINOKI Art Fair X XIV 田中雅子氏 中野渡みね子氏 相良由紀氏  ギャラリー檜B·Ce·F  
8/ 1~8/7      21世紀美術交流特別展 有田敬子氏一ノ澤文夫氏 相良由紀氏 中野渡みね子氏 姫井美貴子氏  千駄木画廊   
8/ 1~8/6    現代美術日韓展 有田敬子氏 宇野之雅氏 寺床まり子氏 西沢武德氏 小林成行氏  ギャラリーくぼた   
8/ 1~8/7   座·琳派展 醍醐イサム氏  画廊 楽Ⅰ  
8/ 3~8/9   現代ガールズコレクション展 寺床まり子氏  うすい百貨店  
8/ 4~8/13   サマーフェスタ2022 五十嵐久美子氏  ギャラリー枝香庵  
8/10~8/17   平和を愛するあなたへ展Ⅸ 那須ゆいか氏  上諏訪駅前ビルアーク額訪3F すわっチャオ  
8/23~9/3   華図展Ⅱ-Ⅱ 栗本浩二氏 平澤重信氏  あらかわ画廊  
8/23~8/28   郡来展 佐藤泰子氏  コンチネンタルギャラリー  
9/ 7~9/13   ART WAVE新宿現代美術展2022 醍醐イサム氏  ヒルトピアアートスクエア  
9/10~9/25   朝霞市県展作品展 醍醐イサム氏  朝霞市博物館  
9/29~10/ 6   ギャラリー·イン·ザ·ブルー開廊30周年記念展 平澤重信氏  ギャラリー·イン·ザ·ブルー  
10/5~10/10   佐藤直弥·さとうえみこ二人展 さとうえみこ氏  ギャラリーストークス  
10/10~10/22    多面体  醍醐イサム氏  始弘画廊  
10/12~10/17      はじまりの庭   佐々木厚子氏 高橋靖子氏 平澤重信氏  ギャラリーストークス     
10/19~10/23   第65回CWAJ現代版画展 五十嵐久美子氏  ヒルサイドフォーラム   
10/25~11/2   江古田のまちの芸術祭2022 at FURUTO 小川リエ氏  ギャラリー古籐  
10/27~11/ 3    ギャラリー·イン·ザ·ブルー開廊30周年記念展 小野田志津代氏 栗本浩二氏 小暮芳宏氏 松崎九鬼氏  ギャラリー·イン·ザ·ブルー   
11/ 1~11/ 9    まほろば 佐久に咲く 素描展 2020 醍醐イサム氏 平澤重信氏    ギャラリー絵夢   
11/ 7~11/12   今井忍展  K's Gallery
11/ 8~11/13   第30回朝霞市美術協会展 醍醐イサム氏      朝霞市中央公民館ギャラリー  
11/10~11/17    ギャラリー·イン·ザ·ブルー開廊30周年記念展 新井富美子氏 醍醐イサム氏 中林三恵氏 松山由美子氏 ミズ·テツオ氏  ギャラリー·イン·ザ·ブルー   
11/10~11/16     生誕100年 一木平蔵展 さとうえみこ氏  ギャラリー絵夢   
11/16~11/26     2022ヴェルジェ展 寺床 まり子氏  ギャルリー ヴェルジェ   
11/18~11/27   第68回 練馬区美術家協会展 東谷弘子氏 松本明氏 小川リエ氏  練馬区立美術館 3F  
11/21~11/26   日韓彫刻交流展22 小野田勝謙氏  ギャラリーせいほう  
11/24~12/ 1   ギャラリー·イン·ザ·ブルー開廊30周年記念展 美濃部民子氏  ギャラリー·イン·ザ·ブルー  
12/ 1~12/28   冬の群像 笠井順子氏  ギャラリー成瀬17  
12/16~12/24   Art Of Giving vol.7 寺床まり子氏  MDP GALLERY NAKAMEGURO  
12/19~12/27   2022年ギリギリ展 中野渡みね子氏 寺床まり子氏  K's Gallery  
12/19~12/25       2022年21世紀美術交流展 阿部眞由美氏 有田敬子氏一澤文夫氏 宇野之雅氏 相良由紀氏 中野渡みね子氏 姫井美貴子氏 本間公任子  千駄木画廊     

2023

◉ 個展 会員展 等

1/22~1/28 柳田祐希 個展 Gallery Zaroff
1/30~2/4 菊池まり子展 藍画廊
2/13~2/19 彫刻11人展 銀座アートホール
2/25~3/26 表現と今 那須ゆいか展 岡谷美術考古館
3/25~4/ 2 菊池まり子展 UTSU工房 ノブズギャラリー
3/27~4/ 2 公文淳子展 銀座アートホール
3/28~4/ 2 加藤義雄展 埼玉県立近代美術館
3/28~4/2 西尾裕展 広島県立美術館 ギャラリー
4/ 1~6/11 隈部直臣展 碧南市哲学たいけん村「無我苑」
4/ 4~4/ 9 宮下光子+南葉優子展 広島県立美術館 第5室
4/ 5~4/10 佐藤泰子展 カフェ北都館ギャラリー
4/11~4/16 寺床まり子展 ギャラリー寺町
4/17~4/23 2023 森 真展 銀座アートホール
4/25~4/30 第74回中部自由美術 愛知県美術館ギャラリーE室
4/27~4/30 第1回福井自由美術グループ展 福井県立美術館·地下ギャラリー
5/10~5/20 醍醐イサム個展 ギャラリーストークス
5/20~5/27 第12回東京自由美術展 東京都美術館
5/22~5/28 小林成行展 千駄木画廊
5/23~5/28 本間公任子展 中和ギャラリー
5/29~6/ 3 山田かの子展 K's Gallery
5/31~6/10 美濃部民子個展 ギャラリーストークス
6/ 1~6/6 寺床まり子展 マール
6/5~6/10 西牧喜文展 K's Gallery
6/5~6/11 吉見博展 ゆう画廊
6/12~6/17 露口実展 巷房·1(3階)
6/19~6/24   大森惠子·笠井順子展 笠井順子氏  ギャラリー檜e·F  
6/19~6/24 2023年“U展”千駄木 千駄木画廊
6/27~7/8 五十嵐久美子展 あらかわ画廊
7/ 3~7/8 相良由紀小品展 ギャラリー檜e
7/ 3~7/31 北海道グループ展 ギャラリー左岸 SAGAN
7/ 4~7/9 一井リツ子個展 ギャラリー恵風
7/ 7~7/19 醍醐イサム個展 ギャラリー絵夢
7/13~7/18 幻想のリアリズムの系譜 NTT東日本群馬支店YOUHALL
7/18~7/29 平澤重信展-Resilience- あらかわ画廊
7/18~7/23 第60回自由美術関西展 京都府立文化芸術会館1階·2階展示室
7/20~7/23 第22回自由美術富山グループ展 富山県民会館美術館
7/25~7/30 第55回 黄人展 広島県立美術館 第4·5室
7/25~7/30 第65回東中国自由美術展 岡山県天神山文化プラザ第1展示室(1F)
8/ 4~8/8 第58回自由美術群馬展 ノイエス朝日
8/22~8/27 田中秀樹展 中和ギャラリー
9/ 5~9/10 第53回大分自由美術展 大分県立美術館1階展示室

 

◉ グループ展 等

1/12~ 1/21 新春現代作家小品展 伊藤雄人氏 笠井順子氏 小暮芳宏氏 寺床まり子氏   千馱木画廊
1/16~1/21 ART WAVE 新春新年会展2023 醍醐イサム氏  ギャラリーGK
1/17~1/28 開廊20周年記念展Part I 五十嵐久美子氏   あらかわ画廊
1/19~1/29 K's Galleryに集う作家たち展 醍醐イサム氏 今井忍氏 瀧田紀子氏 寺床まり子氏 森三千代氏 山田かの子氏吉川千里氏   こくみん共済coopホール/スペース·ゼロ
1/31~2/ 9 真冬のシンフォニー2023 吉川千里氏  中和ギャラリー
2/ 3~2/13 カイガノチカラ 平澤重信氏  枝香庵Flat
2/ 7~2/18 開廊20周年記念展Part Ⅱ 平澤重信氏  あらかわ画廊
2/10~2/19 現代抽象作家展 寺床まり子氏 中野渡みね子氏 霊山邦夫氏 村秋木綿氏   ギャラリー絵夢
2/20~2/25 墨いろいろ 美濃部民子氏  ギャルリー志門
2/27~3/ 4 版画家Allumage展 笠井順子氏  K's Gallery
3/ 9~3/12 第39回森野会展 寺床まり子氏  町田市立国際版面美術館(市民展示室A)
3/13~3/18 表現の原点 大野修氏 小倉信一氏  ゆう画廊
3/13~3/18 <ミニミニ100選>展 中野渡みね子  ギャラリー暁
3/20~3/25 Monochrome 古田由美子氏  ギャルリー志門
4/6~4/12 NU展2(裸婦展) 五十嵐久美子氏  リベストギャラリー創
5/1~5/7 学園祭展 ⅢI 阿部眞由美氏 中野渡みね子氏 永畑隆男氏 ミズテツオ氏  千駄木画廊
5/29~6/ 3 MUSA-BI展 in TOKYO 小野田志津代氏  アートスペース羅針盤
6/ 1~6/7 石川忠一先生追悼展 醍醐イサム氏 村秋木綿氏  ギャラリー絵夢
6/ 5~6/17 ARTFILE展 相良由紀氏 鈴木香織氏 寺床まり子氏  K's Gallery
6/27~7/9 22nd アートinはむら展 大野美代子氏  プリモホールゆとろぎ
7/ 4~7/ 9 ART WAVE 目黒現代美術展2023 醍醐イサム氏  目黒美術館区民ギャラリー
7/6~7/13 綺羅星展 森真氏 笠井順子氏 小暮芳宏氏 伊藤雄人氏 寺床まり子氏 村秋木綿氏 依田元明氏  千駄木画廊
7/8~7/18  未来抽象芸術展 瀧田紀子氏  こくみん共済coopホール/スペース·ゼロ
7/24~7/29 Gallery HINOKI Art Fair XXV 中野渡みね子氏 山田かの子氏  ギャラリー檜B·C·e·F
7/24~8/3 interseotion-sm 寺床まり子氏   ギャルリー志門
7/31 ~ 8/ 9 concrete 有田敬子氏 大野修氏 岡/谷美依氏 小倉信一氏 笠井順子氏 吉村俊氏   ギャラリー絵夢
8/ 1~8/31 安中現代美術館2023 醍醐イサム氏  MUSEE MATSUIDA
8/ 2~8/7 現代美術韓日展2023 寺床まり子氏 小林成行氏 宇野之雅氏 西沢武徳氏 有田敬子氏   Gallery H
8/ 2~8/7 現代ガールズ展 寺床まり子氏  福島県郡山市うすい百貨店8階ギャラリー
8/21~8/26 第21回獏展 中野渡みね子氏  K's Gallery

一井 リツ子「雲霧林の森で」

私はメキシコ国立芸術院への交換留学を経て中南米に関心を持ち始め、2013年エクアドル·インタグ地方を旅し、豊潤な水脈を持つ世界的にも希少な生物多様性の森「雲霧林」と近隣の村々で、多大な環境破壊を引き起こす鉱山開発が強行されようとして、様々な人権侵害が繰り返されるなど理不尽な状況を知りました。

当初はまともに人前で話すことも苦手で、長い間描きたいものを見失い苦しい思いをしていましたが、地図上から消されるかもしれない鉱山開発危機に直面しつつも、出逢ったあたたかな現地の方々や自然の豊かさに、こんな私でもこの地をこのまま残せたらと祈るような気持ちで、講演等を始め「SELVA/森」をテーマに制作活動を続けています。

2019年までは数度現地を訪れていましたが、以後コロナの流行により渡航も困難となり、一時期その影響で個展を延期するなど、やるせない気持ちを抱いていました。

やっと2022年末にこの森をテーマに開催した個展では、作品売り上げを現地環境保全団体へ寄付、2023年7月の個展ではご覧頂いた多くの方々に、世界中で共通する強引な開発や自然破壊の問題について、とても熱い感想を頂きました。

何よりもこの雲霧林で、凝縮した生命の力に包まれ心から深く感動したのが発端ですが、私達を庇護する光や水、自然の放つ輝きのみならず、深い森が内包する闇やその存在、世界観をARTとしても独自の表現を見つけてゆきたいと思っています。


SELVA-La noche/夜(F120)

Existencia/存存(F100)
​​​​

西牧喜文

私の制作の発表の場は自由美術と個展です。公募展は自分の作品がカオスの中に飲み込まれて、その存在が点に過ぎない気がする一方で、多くの作品の中に個性輝く作品を見出すこともできます。それは自分にとってヒントでありチャンスであるかもしれません。その展示状態はダイナミックで、作品が迷子になり、囁きのような輝きが見えにくくなるキツイ空間でもあると感じます。埋もれず、響きあう空間は険しいけれど、自分の作品の質量をクールに感じられる稀有な空間だと思います。

個展は作品一つ一つが似通った自分であるはず?にも関わらず、作品自体はそれぞれが初対面であるかのように反発して互いのデリカシーを傷つけあいます。このバラバラな空間に共鳴という風を通すことは実際には至難であると言えます。個展で何を示すのかと改めて問われ、なかなか見えてこない自分に出会います。描くだけではないことに何となく気づかされることと決して苦しみではないことが希望です。

私はこの土俵で呪われることなく、自分に期待し続けたいものだと思っています。

五十嵐久美子

「コロナ後の思い」

 今年に入って銀座界隈の画廊を廻って歩く人々が増えて来ました。コロナ禍になりピタッと会わなくなった方がいましたが今回の個展で3年半ぶりに会場にいらして下さいましたので、どうしていたのか尋ねましたら、「コロナに罹るのが怖くて外出しなかった。」との事。最初の頃は、私も電車に乗るのも決死の覚悟で、銀座に出て来ていましたが、とても怖かったです。
 私は、今から振り返ってみると、コロナ禍の真っ最中、2021年10月、まだまだ不安な時期でしたが、あらかわ画廊で、個展を開催しました。
 副題に 「句読点」
「コロナ禍の中で先の見えない不安、失った時間を考えた時、未来への光・希望そして現在あるべき風景を自分の内側と外側両面に句読点を打つ事を試みた」
という文章をDMに掲載しました。
 今現在、2023年6月27日~7月8日に展開されている個展は、
副題に 「庭の精霊」
物質的な身体を持たず、草木に宿るとされる超自然的存在や力、住む精霊たちに「世界の混乱が平和になりますように」と願う。という文章をDMに掲載しています。
この文章は今後の私の制作の視点にしようと思います。
 コロナ禍、様々な体験、想いをしました。この事を活かし、今後共前向きに取り組んで参りたいと存じます。

加藤義雄

「先は見えてこないが…」

「仕舞の個展かも、なんてDMに書き添えてあるので来たが、大盛りの生前遺作展かな」
と絵の仲間のひとりが云った。自分でも計らず会場芸術というものに近いかなと。美術館への報告もあって、点数を数えてもらったら405点もあって、一応300点くらいと思っていたが、大巾に超過していた。申込みの時点で、自分ひとりではとてもムリと思い、仲間たちに早々と搬出と展示の助っ人をお願いした。これがキメ手となって、皆さんにサプライズを喜んでもらえた。
 ところで、じつは7月に美術館申込みのあと、コロナに罹ってしまった。何かしら新薬らしきものを誓約書を書いて飲まされ、10日ほど自宅カクリをして回復した。が、後遺症かもしれない、カユミ、ハライタ、ベンピ、不眠というオマケがついてしまった。これが、コロナ禍の日常となった。
コトバは悪いが、私は仕掛けたのである。自由の仲間は、個展やグループ展を本当によく開くのだ。しかし私は、二つの自由展はじめアンパン展、埼玉平和展、九条展と公募展ばかりで、銀座では、個展を一度も開いたことがないのだ。千駄木画廊もやってなくて、どうしてやらないのかと。それが自分では、現職のときは、40年以上ギンザ界隈を自転車でグルグル水スマシのごとく走りまわっていて、それが特別にハレのことのように思えず、公募展参加を多くもつことによって人の輪がひろがると考えていたので、自然とやらないでいた訳である。そこで、個展と云うのをヤルナラ、自選展のようなもの。また、自由展では展示できない大きさのもを仕掛けてみたいと思った。が、まだまだと云っているうち、コロナ禍となり、80才の山も越えてしまい、美術館が開いてくれるなら、すぐ来年にも開こうとコロナにサイソクされたカタチだ。
 ふり返って、個展を通過した私の中で、何が変わったか、張りつめていたものが解き放なされ、何が見えてきたのか。やはり先きは闇が深まるばかりのようである。
 最後になってしまったが、「行けないけどガンバッテ」と励ましの便よりを寄せてくれた方々をはじめ、展示から当番、撤去まで助けてくれた小野精三さん、小林成行さん、依田元明さん、平美の3人の方々には心から感謝、感謝である。
-おわり- 
― 2023.7/2 ―

菅野幸恵

「佇む人」

 静かな秋田も、波に翻弄される小舟のごとくコロナの渦に引き込まれ、地方都市独特の気質をも巻き込みながら、また地方都市特有の気概を支えに三年が過ぎた。
 そんな中、会場で作品の前に佇みその人は涙を浮かべていた。そして「癒されました」と私に告げた。 この言葉に私も涙した。この涙が由来する感情は何なのか。
 里山に育った幼子が広大な海に出会い、その圧倒的な包容力に魅せられ描きもがいた年月。激しい感情のうねり、己の奥底の触れるものを冷たく突き放す暗いもの、そしてそんな私でも愛されたいと願う矛盾に満ちたもの。幾多の感情を海の姿へ。だがその作品は、綺麗な色、穏やかで優しげな世界。「海の自画像」への評価はこの間、私の想いとは裏腹なものだった。
 一昨年、自身のアトリエのように通いつめた秋田市大町にあるギャラリーを備えた画材店「彩画堂」が閉店した。県内外の画家が集うサロンであったその場所で温かな光に包まれた制作が一変、一人己に対峙する無音の時間へと変貌する。溺れかける自己を見失うまいとひたすらにカンバスに向かう日々。そんな胡乱な中で、懸命に生まれた海の前にその人は佇んでいた。
 刹那的に投げ掛けられた一言に、さざめく感情の揺らぎを感じた。穏やかな海の底にある流れは、届いたと。届けることが出来たと。
 注ぎ込む数多の河は豊穣な海を育み、再び雨となって緑陰へ還る。新人賞はアニサキスが刺激となった。外的要因に翻弄されつつも、その都度海の糧としてきた。これまで、そしてこれからの出会いに豊かに廻る想いを込め筆をはこぶ、コロナ後の夏。


移景22-12

前田珠紀

「DREAM 」

絵の制作は独りがスタンスだから、コロナ禍であろうが制作に変化はありませんでした。
昨年は10 月に銀座のシロタ画廊で個展をしました。自由美術からたくさんの方にお越しいただき、ありがとうございました。
一点では表現できないもどかしさがあり、このままでは年齢も感覚もおぼつかなくなる不安もあり、早々に制作に取り組みたいと思いを抱いていました。
広島の先輩から個展をすすめられ、個展会場の紹介とスケジュール等アドバイスを頂きました。より制作に専念し自身を鼓舞したい思いがあったので、キャリアも技量も浅く不安が大きかったのですが、銀座の画廊をご紹介頂きました。
結果はどうあれ、下手は下手なりに試行錯誤しながら制作していく喜びを感じることができました。高みに挑戦していくことは、作品を生み出す大きな原動力になったと思います。
自分の表現したい世界を誰かに伝えたい、見てもらいたい、作品を通して一人でもつながることできることが私の本望です。
刻々と変わっていく感動の視覚の世界は、以前に夢の中で見たなつかしさのような、これから遭遇する予感のような、不思議な世界が散りばめられ、この世界に思いを馳せながら今日も制作を続けています。切磋琢磨しながら次の個展を目指しています。次回は来年の三月に広島県立美術館の県民ギャラリーです。


What’s the matter? oilcolor on canvas 2021 727×910×2

柳田祐希

-絵と、制作と、個展と-

 個展空間に立ち、己の作品を見渡すと、自室に引き籠って絵を制作している時とは、作品達がまた違った立ち上がり方をしてくれる。
 自分の意思で、自分の手で制作したはずなのに、そんなことは預かり知らぬかのような、己の意思を超えたもの達が画面に立ち上がっていることに気が付くのである。
 個展空間は一期一会だとも思う。
 個展期間は終わっても、絵は残る。しかし、作品が並んで作り上げたあの空間は、個展開催の僅か一週間ほどしか存在しない。その僅かな期間に身を置いて、作品達と向き合うことは、制作を続けていく中で必ず必要な時間なのだと思う。
 個展に足を運んでもらって人に観てもらうことも、作品を発表する大きな目的の一つだが、何より自分が作品達に向き合う大切な時間でもある。
 この三年間の世の中の混乱は、経験したことのないことのようでいて、何処か記憶にあることのようでもあり、意識、無意識を超えて絵の中へと昇華され、更に己と絵へとなっていくのだと思う。
 この三年間で、会いたいと思う人にも中々会えず、又、知らぬうちに、知り合えぬうちに、去っていかれた人もいた。己はただ粛々と、この活動を続けていくよりは他はないのだと思う。

隈部直臣

~ せせらぎ ~

愛知県碧南市哲学たいけん村無我苑にて奈良時代の脱活乾漆技法を基礎にして石膏型を用いた乾漆彫刻を中心に陶彫、大理石彫刻を合計30点展示しました。碧南市は三河湾の海、矢作川、天然湖沼の油ヶ淵があります。水に恵まれた豊かな所です。無我苑は油ヶ淵の近くの丘の上にあり緑と和様の庭、茶室、コンクリート造りのモダンなギャラリーがあります。落ち着いた雰囲気に包まれた静かな空間です。海が近いので淡水と海水の混じり会う汽水域で水を身近に感じる場所でもあります。とても良い環境で個展が出来、大変感謝しています。

寺床まり子

「コロナの頃そしてこれから」

コロナ禍の2020 年、自由美術展は開催されず、予定されていたグループ展も軒並み中止、あてのない制作はグループ展に追われていた日々から、ちょっとは立ち止まれたような気がした。得体のしれないコロナのことが少しずつ解ってきた2021 年の7 月、緊急事態宣言初日から銀座の中和ギャラリーの個展は始まった。もう慣れてきたのかありがたいことに、たくさんの来訪者があった。
その後、いろいろな縁が繋がって、2022 年はコロナが収まりかけていたNY、2023 年は2 類から5 類に変更されつつある時期、郷里である三重県桑名市と国立市で個展ができた。個展があればその場にあわせた制作が必要になる。今までは東京近辺の個展だったのが、海外や地方になると梱包が必要で、60 号を2 枚にして120 号を制作し、同じサイズで何枚か制作し、小品販売を頼まれて、たくさんの小品を作ったりしながらコロナ後を過ごしてきた。
 いつからか絵を描く生活になってきた。平凡な人生でもなにかしら降りかかる。何とか乗り越えてこられたのは、やはり絵を描くこと、影響を受けた作家、仲間の存在で、そこにいればなんだかゆっくり息ができる気がした。絵を描くことは基本個人なので、家にこもっていることは大丈夫だし、時々、展覧会や個展、グループ展を見に行く生活は以前と何一つ変わっていないが、少しずつではあるけれど、絵を描いていく覚悟みたいなものがコロナ禍、その後の今、できてきたように思う。

露口実

「矛 盾」

高校生の頃、「油画を描く事は、環境汚染に繋がる」と悩んでいる友人が居た。
その時一緒に悩んだつもりだったが、結局自分は、その後も油画を描いた。そしてこの先、最終的に焼却処分される油画は、有害物質を撒き散らし、燃やすゴミに出せない大きな作品は、粗大ゴミとして土壌を汚染するだろう。だとすると、制作を始めて四世紀半、何故描いているのかも分からな
いまま、環境汚染を生み出し続けている事になる。この事を傍に置いて、「沖縄の珊瑚が-」「外苑の銀杏並木が-」などと話したところで、我ながら何をほざくかと思う。すると、自分の脳は、こうも考える。
何もしていなくても、人間というのは、生きているだけで矛盾だらけではないのか。
思考停止して生きている者だけが、矛盾を感じずに生きているのではないか?
しかし、こんな屁理屈的な言い訳若しくは反撃を考えたところで、ネット界の御意見番H氏のような人物から、こちらが何も言い返せない名言を頂戴するだけなのだ。
さて。
いかがしたものか。

那須ゆいか

「コロナ禍の田舎暮らし」

私が長野に帰って来たのは、2019年12月末。中国武漢で第一例目の感染者報告があったのが12月初句。ほぼ4年半、コロナ禍の田舎暮らし。
パンデミック始まりに思ったのは、天然痘、ペスト、スペイン風邪、と起きてきたのに拘らず、少しも自分の人生の中に起きうる事だとは思っていなかった。驚いたのは歴史的にほんの少し前の出来事ですら、自分の事としては、考えられないということでした。
コロナ禍で良かったと思える事が一つ。父が亡くなって三十数年、車椅子で十数年、一人暮らしをして来た母が、帰って二年目、医者が「持って一、二ヶ月」と診断した時、看れる限り家で看ようと思えた事でした。そして実際家で亡くなりました。四十数年離れて暮らし最後の二年でもいっしょに過ごせたのは、私にとって宝物の時間でした。
母が居なくなって二年、絵は私の支えになっているのだとも思えました。
自由美術の方が誰一人居ない長野です。笑。それでも声を掛けてくださる方もおり、この展覧会を開かせて頂いた事は感謝あるのみでした。二十年間の自分の変遷を眺めることが出来、作品について感がる時間が持てたのは有難かったと思います。

Hole in the sky(ゆりの木)

辻 忍

はじまりも終わりも分からず、 向かい合うことになっていた。
向かい合うことは傷をつけること。
向かい合うことは失うこと。
向かい合うことは消えていくこと。
ここは、はかり知れない自我と忘我のループ。
誰かの囁き・・・
振り返り、今に沿い、 少し先を想えば向かい合わずにすむのでは?
それでも僕は、目に見えなくても美しきことに触れたいだけなんだよ。
はじまりも終わりも分からず、 限りある中でここにいるのだから。
ただもしそれが、 涙なくこの手から離れていくとしたら・・・
そして、0.1mmでも地上との距離が開かれていくのなら・・・

編集後記

時の経過と共に、コロナも戦禍の事も話題にならなくなるが、厳しい状況は変わらない。表現者にとり創作は内に向けての問いであり、外に向けての発信である。自由美術もこの先、どの様に歩むべきか課題が多いが、“今”を感じる創作で社会に存在し続けたいと願う。
◎個展G展の案内、特に各地方で開催されている方。編集部にも是非お知らせください。発表に力を入れている方をとり上げていきます。◎本年も会員の方の訃報が知らされました。謹んで御冥福お祈りいたします。◎昨年度受賞者、亡くなった方会員の名前は自由美術ニュース等で御確認下さい。(小倉)

編集研究部 小倉信一、柳田祐希
協力委員 福田篤、栗本浩二
公文淳子、醍醐イサム
平澤重信
広告担当 松崎九鬼